飛行機を使って旅行や出張をされることが多い方にとっては、マイルの存在は気になるところです。
「クレジットカードを利用すると、さらにお得にマイルをためられる」というような話を聞いたことがある方もおられるかと思います。
そこで今回は、ANAカードでマイルをためることを想定し、ANAカードの基本的な事項、実質的なコスト、このコスト面からお得な「ANAワイドゴールドカード」を中心に、ご説明したいと思います。
はじめに、ANAカードの基本的なことについてご紹介します。
ANAカードは、グレード(ランク)に応じて、次の4つに分類されます。
ANAカードの選択肢
・ANA一般カード (年会費2,000~7,000円(税別))
・ANAワイドカード (年会費7,250円(税別))
・ANAワイドゴールドカード (年会費14,000~31,000円(税別))
・ANAプラチナカード (年会費70,000~155,000円(税別))
下に行くほどグレードが高くなります。これらのカードのうち、年会費が安い「ANA一般カード」の特徴を次にご説明します。
ポイント有効期限
ANA一般カードのラインナップは、VISA、MasterCard、Suica、TOP&ClubQ、JCB、JCB ZERO、ToMe CARD PASMO JCB(通称ソラチカ)、アメリカン・エキスプレスの8種類です。マイル還元率は、JCB ZEROを除いて、すべて1%です(JCB ZEROは0.5%)。
年会費が7,000円(税別)のアメリカン・エキスプレスは、さらに年間6,000円のポイント移行コースに登録すると、ポイントに有効期限がなくなります。これは大きなメリットといえるでしょう。
年会費の超割引
また、三井住友カードが発行する4種類のカードは、「マイ・ペイすリボ」に登録して1年に最低1回決済に使えば、年会費が、VISAとMasterCardでは1,025円、SuicaとTOP&ClubQでは751円にまでそれぞれ割り引かれます。
なお、「マイ・ペイすリボ」とは、カード利用者があらかじめ指定した毎月の支払い金額を超えた分がリボ払いとなる支払い方法のことです。詳しくは、三井住友カード株式会社の公式ホームページをご覧ください。
三井住友カード株式会社の公式ホームページ「マイ・ペイすリボ」
マイルの稼ぎやすさ
上でご紹介した4種類のカードをすべて発行した場合、年会費は3,552円(税別)です。毎年、継続ボーナスとしてカード1枚につき1,000マイル追加されます。1マイル=0.96円の計算となります。この4種類のカードを決済に使わず所有しているだけでも、毎年4,000マイル追加されることになり、楽にマイルを稼ぐことができます。
移行手数料
継続ボーナスはカードポイントとしてではなく、ANA本体から直接マイル口座にANAマイルが振り込まれますので、マイル移行費用は一切かかりません。新規入会キャンペーンの条件が良いときに、順次発行していくのがよいでしょう。
一方、ANA JCB一般カードには、年会費割引がありません。しかし、年会費は2,000円(税別)で、継続ボーナスが毎年1,000マイル追加されます。1マイル=2円の計算となります。こちらも、新規入会キャンペーンの条件が良いときに、発行していくのがおすすめです。
ANAカードは、年会費だけに注目しても、お得なのかどうかよく分かりません。ここで、そもそも、ANAカードを保有する目的は何であったのか、思い出してみましょう。その目的とは、「マイルをためる」ということではなかったのでしょうか。
このような目的から、ANAカードは、年会費とマイル移行費用のセットで、実質的なコストを考える必要があります。
一例として、ANA VISAカードの各グレードで、「マイ・ペイすリボ」と「WEB明細」を併用して年会費割引を受けた場合の実質的なコスト(年会費+マイル移行費用)の比較を、以下の表にまとめました。ご参照ください。
コスト比較
カードの種類 | 年会費(税別)
(A) |
マイル移行費用(税別)
(B) |
実質的なコスト(税別)[(A)+(B)] |
ANA VISA Suicaカード
(一般カード) |
751円 | 6,000円 | 6,751円 |
ANA VISAワイドカード | 6,275円 | 6,000円 | 12,275円 |
ANA VISAワイドゴールドカード | 9,500円 | 0円 | 9,500円 |
毎年、ポイントをマイルに移行する場合、VISAで「マイ・ペイすリボ」と「WEB明細」を併用すると、「ワイドゴールドカード」ではマイル移行費用が無料になり、全体的なコストは格下の「ワイドカード」よりも安くなります。また、「ワイドゴールドカード」のコストは、一般カードとわずか2,749円の差です。
さらに、この2,749円という差は、毎年追加される継続ボーナスの1,000マイル、そして、マイル還元率の違い、保険、その他の特典(ベネフィット)を考慮すると、ほとんど誤差の範囲内といえるでしょう。特に、年間決済額が300万円を超える場合は、なおさらです。
上でご説明しましたとおり、「ワイドゴールドカード」の実質的なコストは、一般カードとわずかな差です。このため、「ワイドゴールドカード」についても、ぜひ知っておきたいところです。
そこで、一般カードよりも2ランク上のANAワイドゴールドカードの特徴と、そのメリットについてご説明します。
ANAワイドゴールドカードには、VISA、MasterCard、JCB、アメリカン・エキスプレス、ダイナースの5種類があります。
新規入会時と毎年の継続ボーナスマイルは、ワイドカードと同じ2,000マイルです。フライトマイル積算率も、ワイドカードと同じです。特典に関しては、ワイドゴールドカードの方がやや良くなっています。
また、一般カードと違い、ショッピング枠の与信が100万円以上ありますので、限度額を過度に気にすることなく利用することができます。なお、使い続ければ、200万円または300万円までショッピング枠の増額も可能です。
ANAワイドゴールドカードの最大のメリットは、カードでたまったポイントのマイル移行費用が無料という点です。特に、三井住友カードが発行する2種類のANA VISA/MasterCardワイドゴールドカードは、先にご紹介しましたとおり、「マイ・ペイすリボ」と「WEB明細サービス」を併用すると、年会費が9,500円にまで割り引かれ、還元率も高くなりますので、非常にコストパフォーマンスが良いといえます。
また、年会費がさらに高いANAアメリカン・エキスプレス・ゴールドと、ANAダイナースにもメリットがあります。
これらの2種類のカードには、入会キャンペーンでもらえる大量マイル(「入会から○ヶ月以内に○万円利用で○万マイル」というもの)と、ポイントサイト経由の入会でもらえる大量ポイント(「ポイントサイト経由の入会で○万ポイント」というもの)があります。
ポイントサイト経由の入会で数万の大量ポイントをうまく組み合わせると、6~7万マイルもたまる場合があります。3か月で大体30~40万円の決済が目安になりますので、普段から毎月10万円以上のカードの支払いがある人は、これらのカードを検討する余地がありそうです。
なお、入会キャンペーンやポイントサイト経由の大量マイルは、カードを一度発行してしまうと、二度と獲得する機会はありません。時期によって入会キャンペーンの内容が微妙に変わりますので、内容とともに相場を見極め、適切なタイミングで発行するようにしましょう。
そして、ANAワイドゴールドカード保有のメリットで忘れてならないのは、ANAマイルから「ANA SKYコイン」への交換比率アップです。「ANA SKYコイン」は、ANAの公式ホームページ上での航空券や旅行商品の支払いに利用可能な電子クーポンです。ANA一般カードの場合、50,000マイルの交換でその1.5倍の75,000コインになるのに対して、ワイドゴールドの場合は、1.6倍の80,000コインになり、お得です。
ANAマイルからANA SKYコインへの交換についての詳細は、ANAの公式ホームページをご覧ください。
ANAの公式ホームページ「ANA SKYコイン」「ANAマイレージクラブ」
では、ANAカードでは、どの国際ブランドを選ぶとよいのでしょうか。以下に、ANAカードの国際ブランド別の特徴をまとめました。ご参考ください。
これらの国際ブランドのカードは、三井住友カードから発行されています。ANA一般カードからゴールドカードまで、「マイ・ペイすリボ」と「WEB明細サービス」の併用によって年会費が抑えられ、マイル還元率も上げられるのが大きなメリットです。また、世界中に利用できる店舗が非常に多く、決済カードとして万能といえます。
JCBはかつて、マイル移行費用が安く、高額利用におけるボーナスに魅力があったため、低コスト運用を重視する人にとっては、魅力がありました。現在では、これらの特典が改悪されてしまい、ソラチカ以外のJCBの利用価値は、以前よりも低くなりました。
こちらのブランドも、世界の多くの国や地域で利用可能であり、特に、ハワイやグアム、台湾、韓国といった日本人が多く訪れる観光地では、有用といえるでしょう。
ANAアメリカン・エキスプレス・ゴールドカードは、定期的に魅力的な入会キャンペーンを行っています。このキャンペーン時にカードを発行し、その後、使い勝手、利用状況などに応じて、保有を継続するか、解約するかを決めていくのがよいでしょう。高額の年会費を支払う余裕があれば、ポイント有効期限のないANAカードとしての利用価値があるのではないでしょうか。
(4)ダイナース
これまでご紹介した国際ブランドと比べて、加盟店が少ないのですが、特典は比較的充実しています。
2015年12月以降、発行会社が三井住友トラストクラブ株式会社に代わりました。従来からの顧客層と年会費の高さを考えると、今後、特典は大幅に改悪されないと思われます。大量ポイント、大量マイルなどを伴う入会キャンペーンが行われた場合には、発行を検討してみてもよいでしょう。
いかがでしたか。今回は、ANAカードの選び方について、ご説明してきました。
そもそも、ANAカードを保有する目的は、「マイルをためる」ことです。カードを保有し上手に運用していくには、年会費だけではなく、マイル移行費用とセットで、実質的なコストを考える必要があります。
また、ANAカードには、カードの種類によって、さまざまな特典があります。これらの特典の内容やこれらが得られるタイミングとともに、特典が享受しやすく、また、利用する価値があるものであるかなど、カードの使い勝手を比較・検討することも重要です。
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